素と真　byFAP

時計の短針が重力に引かれるようにゆっくりと下がり、
外の景色も段々と見えなくなっていく。

曇っているせいか朱色に染まらない空は、
水面が薄暗く濁っていく様を彷彿とさせた。

少しずつ暗くなっていく部屋の中、FAPは一人
真剣な表情で考え事をしていた。


『 ………「素っ裸」と「真っ裸」って、なにが違うんだろう 』


どうでもいい事だった。

だが、そういうくだらないことを真剣に考えるのが
FAPの良くない所であり、また悪い所でもある。
要するに救いようのない悪癖であった。

それを自覚しつつ、FAPは思考を深めていく。


『 「素」の裸と「真」の裸、か……

　どちらも同じように思えるが…… 』


真剣に考えながらも、FAPの頭の中では
なぜか素麺(そうめん)が連想されていた。


『 「素」と「真」…… 「素」と「真」……

　素のままと、真の ―――― 』


そうか、と
FAPは一つの可能性を見いだした。


『 素麺は茹で方が足りないと芯がのこ 』


※関係ない思考のため省略されました。


『 ―― ということは、
　素っ裸とは素の裸、つまり普通の精神状態での裸という意味で、
　本人の意思なく裸を見られた状態のことを言うんじゃないだろうか。

　逆に真っ裸とは真の裸、つまり身も心も裸になるという意味で、
　本人自身が見せる意思を持って裸になった状態のことを
　言うのでは……？ 』


こうしてFAPの中でまた一つ、
言葉の意味が勝手に定義された。

自分なりに言葉を定義した彼の顔は清々しく、
そのまま満足げに風呂へと向かうのであった。

「短歌でもよむか」　byKTA

「犬の置物」　byKTA

ターミネーター2　byFAP

昨夜はそこらにいそうなオヤジばりに焼酎片手で
TV放送の「ターミネーター2」を見ていた。

いや、実に面白かった。
私は過去に数回この映画を見ているが、
「ターミネーター2」は様々な意味で
アメリカ・ハリウッド映画の象徴的な作品だと思う。

T1000(敵役のターミネーター)のCGは今見ても
なかなか凄いと感じさせる。
上映当時においては、時代の一歩も二歩も
先を行った映像作品であっただろう。

しかし見ていて気付いたのだが、
いくつかのシーンがカットされていたように思う。
そのうちの一つは、私にとって『ターミネーター2』の
象徴的なシーンでもあった。
時間の制約や、刺激が強いからといった理由で
カットされたのだろうが、これはとても残念だった。

それにしても、この映画を敵役の視点から見ると、
一つの教訓がひしひしと感じられる。

ターミネーター2の教訓、それは
『 例えこちらが優勢であっても決して油断せず、
　全力で、そして徹底的に目的を遂行すべし 』
である。

T1000は非常に強かった。
変化自在のうえ、寒さや熱にも強く、傷つかない。
粉々になっても再生する。
こいつの動力源は一体なんなんだ。
劇中では倒されてしまっているが、
それは奇跡のようなもので
ほとんど無敵と言っていい。

あのとき、
T1000が余裕ぶっこいて歩いたりせず、
常に走って行動してさえいれば……

T800(シュワちゃん)を串刺しにした時、
胴体ではなく頭のチップを狙っていれば……

最後の最後で指を振って「チッ、チッ、チッ」をせず
さっさとトドメを刺しに行っていれば……


……この映画はさぞつまらない映画になっただろうな。

というわけで、現実的には納得のいかないT1000の
これらの行動は、映画的には正しい行動だったと言える。
またT1000にも人間的な一面が存在するのだと
感じさせる行動でもあったように思う。
これがT1000の持つ「自我」だったのだろうか。

それにしても、T800とジョンの押し問答で、
ジョンの「誘拐される！ 助けて！」という声で
一応助けにきてくれたあの男性2人。
あの2人は非常に気の毒だった。

明らかに厄介事だったのにそれでも
わざわざ助けに来てくれたのだから、ジョンも
「ゴメン、僕の勘違いだった」くらい言えよ……。

「日記にならないボツネタ集」　byKTA