川伝説

byFAP

 


 

最初は 確か高校3年の夏、だっただろうか

 

 

暑い夏の日のことだった

 

 

俺とNと I が遊んでいた時

ノリだけで予定も何もなく集まっていたので

何をしようか話し合っていた

※ヒマ人だとか言うな

 

 

すると

不意に I が

 

 

「 …川か!?」

 

などと言い出した

 

突然言い出したのだ

 

普通のヤツなら 「バカかお前は」 と言いたくなるが

俺とNにとって それは普通のことだ

 

 

だが

流石にこの時 俺は

「なんでやねん」

とツッコミたくなったが

 

 

それを言おうとする前に

Nが

 

「 川か! 」

 

賛同し始めたのだ

 

さすがノリがいいだけある

 

むしろノリだけのような気もするが

まぁ それは言いっこなしだ

 

 

かくして俺たちは川に行くことになった

 

 

当然、川で泳ぐやつもいなければ

遊んでるやつ

釣りをしているやつすらいない

 

 

そんな中

 

 

ヤツラは泳ぎだした

 

 

いい年した学生が川で泳いでいるのだ

 

 

 

「いゃ〜っはっはっは〜!!」

 

なんて叫び 喜びながら入っているのだ

※結構深い。深いところで2mぐらいある
流れは速いが すぐ緩やかになるので安全

 

 

Nと I が マジで海パン取りに行ったときは

 

「 ま まさか… 」

と思っていたが

その 「まさか」 だったのだ

 

 

『コイツらはバカに違いない』

流石に俺もその時そう思った

 

 

『川になんて汚くて入ってられるか!』

とも思った

 

 

だが

 

 

ヤツラはその後も 誰もいない川で泳ぎ続けた

 

 

 

秋になり 寒くなっても泳ぎ続けた

 

 

 

アタマ悪い!

 

 

 

ちなみに俺は 断固として泳がなかった

※足までは入ったが

 

 

 

流石に冬に近くなり マジで寒くなると、入るのをやめたが

そんな時期まで入ってること自体がオカシイ

 

 

 

 

 

 

―――1年後

 

 

大学1年の初夏

 

 

去年と同じように

 

 

「 川か!? 」

 

 

「 川か! 」

 

というフレーズがヤツラの口から飛び出した

 

こうなると もう誰も彼らを止めることはできない

 

 

 

まだ寒い初夏の川

 

 

 

「 いゃ〜っはっはっは〜!!!! 」

 

という声とともに

 

いい年した若者が2人

川で泳いでいる…

 

 

そこに成す術もなくたたずむ俺

 

やはり断固として入らない

 

 

 

こんな日を何度も繰り返し

 

そして初夏も終わりを告げ

 

夏到来

 

 

ヤツラのノリも最高潮

 

 

夏休み中

毎日のように川へ

 

 

 

しかし ある日

いつもと違う光景

 

 

今まで誰もいないハズだった川に

見知らぬ若者が!

 

 

俺たち(特にNと I )はこう思う

 

 

『 俺たちに感化されたな 、 ふふ… 』

 

 

 

不思議な満足感の中

若者が去った後の誰もいない川で

またもいい年した若者が2人

 

 

 

「 いゃ〜っはっはっは〜!!!! 」

 

 

 

 

 

―――そしてある日

 

俺の中で何かが壊れた

 

 

何度もヤツラに

「 FAPも入れよ〜 楽しいぞ〜 」

と言われたからだろうか

 

 

その日は何故か入る気 満々

 

 

あれほど川に入るのを嫌がっていた俺

川に着いた時

 

 

誰よりも早く着替え

 

 

誰よりも早く川に行き

 

 

誰よりも先に飛び込んだのだ

 

 

 

 

「 いゃ〜っはっはっは〜!!!!! 」

 

 

 

いい年したバカ若者が3人に…

 

 

しかも なんかその時

俺が一番 嬉々としていたような気がするが

気のせいだと信じたい

 

 

 

そして ついに俺も川に入ったことにより

俺らのノリはレッドゾーン

 

 

毎日のように川で

いい年した若者が3人

 

 

「 いゃ〜っはっはっは〜!!!!! 」

 

と叫ぶ日が続く

 

 

 

――ある日

お盆も近かったせいだろうか

 

川に

 

 

ナスで出来た馬と、白い菊の花が…

 

 

 

 

 

 

 

見なかったことにしておこう…

 

 

 

 

 

 

 

 

「 いゃ〜っはっはっは〜!!!!!!! 」

 

 

 

しかも I にいたっては

それを投げる始末

 

 

 

あ あなたに恐いものは

ないんですか!!???

 

 

流石だ I

尊敬するよ、マジで

 

 

 

―――そうして僕らの夏は過ぎていく

 

 

 

多分 俺たちは今年も川で泳ぐのだろう

結構楽しいしね

 

 

今年の夏

 

川で

「 いゃ〜っはっはっは〜!!!!!!! 」

 

と笑いながら 泳いでる若者3人がいれば

 

 

 

それは恐らく

俺たちだろう

 

 

 

さぁ

あなたも川に入ってみないか?

 

楽しいよ

 

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