けいた4

byKTA

彼女からの手紙には学校の近況報告と
最近の自分の出来事が
彼女らしいシンプルな便箋に
綺麗な文字で書かれていた

俺は突然彼女の声が聞きたくなり
手紙ではなく電話を返した
たわいも無い話から始まり
会話の流れで、なぜか好きな人の話に

たしか、俺が先に聞かれたんだけど
別れの間際でも告白できない臆病者が
「君だよ」などと言えるはずも無く
その時はクラスで一番人気のあった
女の子の名前を言ってごまかしたんだ

ドキドキしながらも
話の流れで当然俺も聞く

「お前は?」

そのとき彼女は、俺と違って真剣な声で
俺の名前を言ってくれたんだ

もちろん、俺はその告白を受け入れた
恥ずかしがってうそをついた自分が
ひどく間抜けに思えたのを覚えている

今思えば、中学生の頃の同級生の男女
彼女の方が少し大人だったとしても
しょうがないのかもしれないが


初めて女の子と付き合ったのがこの時
実は小学校の時から
密かに思いを寄せていた彼女と

この頃俺は毎日のように
彼女に電話をしていたし
手紙もたくさん書いた
そんな時は時間を忘れてね

それでも、中学生だった俺たちに
津軽海峡を挟んだ遠距離恋愛が続くはずも無く
彼女とは別れることになる

別にお互いに嫌いになったわけじゃないんだ
当時の俺は「付き合っている」
って言う事実だけが
彼女を縛っている気がして

だって、手紙のやり取りと
たまの電話ならいつでもできる。
そもそも合うこと自体が至難なのだから

「俺はお前の事が好きだ
でも、お前を縛るような事もしたくない
だから、一度別れよう、次に巡り合う時に
お互いに恋人が居なければその時は」

なんていう
歯の浮くような台詞を言った気がする
思えば若いねぇ 俺
付き合っているって言う「事実」が
彼女を安心させてたなんて、その時の俺は
気付きもしなかったんだろうなぁ

そういや、女の子を泣かしたのは
これが今のところ最初で最後かなぁ

結果、高校に入ってから彼女は
他の人と付き合ったり、別れたり
たぶん一般的な高校生程度には
いろいろ経験したみたいだけど

俺は俺で微妙に彼女を思いつづけたまま
彼女らしい彼女も作らないで
高校生活を続けていく事になる

そんな状態でも、連絡は取り合っていたのだから
普通の人が見れば
やっぱり変な関係だったんだろう
結局彼女とは、体を重ねることもキスも
手をつなぐ事すらしなかった気がする

でも、俺らの関係は「そう」だったから
よかったのかもしれない
今のこの距離が、二人には一番だったんだろう
いまだに連絡は取っているけど
つくづくそう思うよ

彼女曰く

出会うのが早すぎたんだと思う
恋にするには余りにも距離が近すぎたし
お互いが似すぎてた。
それでも私はそのことに感謝するけど。


俺も、そう思う

出合った場所や時期、一緒にいた時間
告白したタイミングも、何かひとつ違ったら
二人の「今」は違ったかもね
それでも俺は君に会えて心からよかったと思うよ



そして、念願の北海道帰郷と高校時代
俺はこの時に改蔵やFAPと出会うのだ



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