けいた3

byKTA

その娘はクラスでも一番仲がいい女の子で
まともに恋というものをした、最初の人だと思う

当時ガキだった俺には恋よりも
北海道へ帰ることのほうが重要だったのか
それとも、ただ単に臆病者だっただけなのか
その気持ちを、打ち明けたりはしなかったけど
それでも彼女と居る時間は楽しかった

彼女は俺に無いものを持っていたし
俺も、彼女の無いものを持っていたんだろう
それでも周りから見れば
奇妙な取り合わせに見えたんだろうけど
不思議と仲がよかったのは
鏡の中の自分を見ているようだったから

彼女以外でも、中学1,2年の時は
クラスメートに恵まれた
自分で言うのもなんだが俺は中学の頃は
俺の周りにみんなが集まってきてくれたし
持ち前の不思議キャラで
俺を慕ってくれる人もかなり居たのだ

そんな情況で、我が家でひとつの疑問が生まれる
これから、俺が中学を卒業して高校へ行くとして
高校でも、父の転勤の度に転校するのかと言う事
高校は義務教育ではないから
転勤の時に編入し直さなければいけないし
そんな考えが出てきた中学2年の終わりに
持ち家があった北海道に俺はやっと帰ることになった

父は単身赴任を決め
高校への入学も考えてと、
中学の最後の1年間は北海道で過ごすことに
その時の俺は嬉しかったのだ
今思うと、ホントに自分の事しか考えてなかったんだろう
忘れもしない、コンピューター室で例の娘に
こう、聞かれた

「KTA、北海道へ帰っちゃうってホント?」

「ああ、ほんとだよ、やっと帰れるって感じだな」

「なんで?」

「お前には関係ないだろう」

そんなやり取りの後
泣きそうになっている横にいた女の子と
感情を表に出さないように怒っていた彼女を見て
当時の俺は何を思っていたんだろうか


今思えば、彼女のこと すごく傷つけた
当然だよな


でも俺にとっては
そのぐらい幸せな出来事だったんだ

クラス中にその話が広まった頃には
クラスのみんなが、一人づつ俺への一言を映した
ビデオを取ってくれたりして
寄せ書きもくれたなぁ、それは今でも
俺の宝物入れに入っているのだが
この時は、さすがに別れが辛かったな

結局、秋田にいる間に彼女に、告白する勇気も無く
引っ越しが決まった後のバレンタインデーには
彼女からのチョコレートがロッカーに入っていたけど
その後俺はどうしたんだったか
覚えていない

そういえば、俺はちゃんと彼女に
「ありがとう」と言ったんだろうか
ホワイトデーにぬいぐるみをあげた記憶はあるけど

そのあたりは覚えていない
そういえば、この頃の俺の記憶は曖昧だ
引越しの日もどんなだったか覚えてないな
やっぱり嬉しかったんだろうか?
それとも辛かったんだろうか?

他に覚えている事と言えば
バレンタインデーにもらったチョコレートが
ペコちゃんの既製品のチョコレートで
後ろに小さく彼女の名前が書かれていたことと
何日間か食べずに取って置いた記憶ぐらいかな



そして、春
もう、北海道に来ていた俺は
札幌の中学校で始業式を迎えていた

それから少しして、彼女から手紙が来たんだ



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