固い決意 byFAP

 

 

俺は、いつも木曜に
所属している団体のMTGに出ている

そこでは主に、その団体の事業の進捗状況や
仕事の分担、報告
そして討論や談笑が行われる

MTGの進行役は、主に統括さんだ

2001年10月4日

その日 俺は
風邪になって、学校を休んだ
当然、MTGも休もうと思った
そして、その旨をメールで統括などに送った

すると、統括からすぐに返信が帰ってきた

「了解
 俺は来週から半年間
 東京にある会社で研修に行くから
 しばらく会えないな
 じゃ、また半年後!」

メールで読むと、やけにアッサリと書かれている

だが、そこには
「半年間会えないな」と書いてある

「半年」

決して長くはないが
そんな早くもない

それを聞いた時、すぐには実感は湧かなかった
だが、時が流れるにつれ、少しずつ
少しずつではあるが、淋しく感じてきた

永遠の別れというわけではない
わけではない、が
得体の知れない焦燥感が、遅れて襲ってくる

優しい、という人ではなかった

だが、組織の中で誰よりも場を和ませ
誰よりも頭がキレていて
そして、隠れて淋しがりやでもあった

俺達に色々な話をしてくれた

社会人というもの
会社というもの
仕事というもの
夢というもの

それら全てが俺の知識となり、経験となった
話すこと全てが新鮮で
全てが心に深く突き刺さった

残酷な言葉もあった
叱られることもあった
ショックなことを言われることもあった

だが、それらの言葉に
俺を苛めるという意思はない、ということは
俺もわかっていた

その人はいつも
俺の一歩も二歩も先を見て、行動していた
その人はいつも
俺達の行動を見て、俺らの障害となるであろう
諸問題への、警告をしてくれた

だが、もちろん
俺達のことだけを思っての行動でないことは
俺もわかっていた

自分自身の仕事に関しては、計算高く
そして、冷酷な人でもあった

だから、その人にとって
仕事の上では俺達は、ただの駒だったろう
人、というものではなく、道具だったろう

それもわかってる

ただ、仕事以外の点では
俺達と、上司として、先輩として、友達として
接してくれた

時には談笑をし
時には酒を飲み
時には歌を歌ったり

人懐っこく、お茶目な性格
その人には、不思議な魅力があった

ある意味
俺の目指してる人間像に最も近いかもしれない

『俺の分までがんばれ』

メールとのやり取りでそう言ってくれた

「やってみます
 つか、やります

 と言いつつ
 今 風邪で行けない俺が情けない…

 お元気で!」

こんな間抜けな俺の返信に
最後にあの人はこう言った

『ありがとう、力つけて戻ってくるよ』

俺は思った

ああ
この人は、まだ前に進もうとしているんだ
俺より、知識も経験も努力も、遥か上なのに
まだ前へと、さらに上へと行こうとしているのか

あの人に比べ、何も足りない俺が、ここで
こんなところで立ち止まっててどうする

俺も進まなければ
もっと前へと進まなければならない

もっと、今より上へ

そう 心に刻み込んだ

悲しくはない

また 会えるのだから

その時は、俺も少しはマシになってるだろう

そう考えてる自分に気付き
俺は、「やれやれ」と 少し自嘲気味に笑った

 

 

布団の中で、風邪のけだるさが まだ少し残っていた

 

 

 

統括。 帰ってきたら

また 飲み会でもやりましょうや

 

 

 

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