「伏字の意味知ってるのか？」　byKTA

秋晴れの休日　byFAP

しかし秋である。

気温も下がり、夜が寒くなり、寒さで目が覚め、
窓を閉めれば済むものの意地でも開けたままにし、
結果鼻風邪をひくという、その秋である。

そして今日は日曜日。
秋の日曜日、そして晴れ。
その意味する所はズバリ「出掛けよう」である。

朝9時に目が覚める。
いい天気だがまだ眠い。
もう少し寝ておこう。

昼1時に目が覚める。
日差しが目に刺さるがまだ少し眠い。
あと10分だけ寝ておこう。

午後5時に寒さで目が覚める。
外はすでに暗い。
薄暗い部屋の中でがっくりとうなだれる。

このように心底ムダな一日を過ごしてしまうと、
衝動的に『死にてー』と思うのは何故だろうか。
その退廃的な部屋の雰囲気と陰鬱な気分が
心の隙間風となって吹きすさぶ。
凍えるほど部屋が寒いというのも涙を誘う。

一時の幸せに身をゆだねてしまうと
多くのものを失い、鼻風邪だけが残ってしまう。
秋の睡眠の誘惑は強大だが、
その先には絶望しか存在しないのだ。

誘惑に負けてはいけない。
その誓いを深く心に刻む。

しかしその誓いが「睡眠」という名の誘惑に
再び埋もれてしまうのは時間の問題なのであった。

宿命の秋　byFAP

それにしても秋である。

自転車に乗っていると
パシパシと顔面に当たる感触がある。
その感触を受けるたびに
私の不快指数が跳ね上がる。

そう、「秋」とは
雪虫との対決の季節なのである。

自転車に乗っている私は「うぜー」と思い、
彼らは「なんか突っ込んできたー！」と思う。
そうした私と雪虫の対決は長年に渡る。

相互理解など存在しない。
お互い相手を「異物」と認識し、
生死(※雪虫が一方的に死ぬ)をかけて闘い合う。
私と彼らは決して相容れない存在なのである。

今日も私は彼らに
果敢にアタック(自転車での突進。※不可抗力)し、
彼らも果敢に私に
立ちはだかって(自転車との衝突。※不可抗力)くる。

そうして互いに互いの溝を深め合う。
秋とはそういう儀式の季節なのである。

今日闘った相手はなかなかの猛者だった。
私のマツゲに引っかかり、視界を妨害する。
今まで一方的に殺されてきた恨みだろうか。
あやうく車道にはみ出し、
自家用自動車様と高速キスをする所だった。

家に帰って鏡を見れば
額に彼らの亡骸が付着している始末。
思わず「うわぁ…」と呟いてしまった。
今日の所は私の完敗である。

雪が降るまで彼らとの闘いの日々は続く。

byKTA

「宝くじ」　byKTA

FAP VS 雪虫 第二戦　byFAP

ふと窓の外を見ると、
雪虫が部屋の中に入りたそうに飛んでいた。

外は雨。
なるほど、雪虫も大変だなと思う。

しかし私はアンチ雪虫派。
助ける気は毛頭ない。
これが自然と人間の厳しさである。

外をよく見てみると、彼だけでなく
何匹もの雪虫が右往左往している。

がんばれ。
がんばれ、雪虫。
がんばって絶滅してくれ。


彼はしばらく窓のへりで休んだ後、
また雨降る空へと旅立っていった。

その後姿に微かな寂しさを感じた、
寒い秋の朝の出来事であった。

「奉行だった」　byKTA

「初雪」　byKTA